溶連菌による扁桃炎の後はリウマチ熱を警戒

扁桃炎の原因菌には色々な種類の細菌がありますが、中でも溶連菌感染によるものは子供だけでなく大人でも発症事例が珍しくないことから年齢をとわず誰でも罹患するリスクがあります。
溶連菌はいわゆる「人食いバクテリア」の異名があるとおり、稀に急激に症状が進行する壊死性筋膜炎の原因になることでも知られており、扁桃炎を発症した場合でも比較的自覚症状が重く出る傾向があります。

溶連菌感染による扁桃炎では激しい咽頭痛に襲われ、38度以上の高熱や頭痛が見られ肉眼で扁桃腺を観察すると著明な発赤や腫脹などが見られます。
このような頭蓋咽頭症状以外には嘔吐や下痢・腹痛などの消化管症状を伴う場合もあり多彩な症状を呈します。
一連の症状は一見するとインフルエンザにも類似していますが、治療法が全く異なるので原因菌を正しく特定することが非常に重要です。
またおたふく風邪のように首や顔周りのリンパ節がはれることもあり、症状が出現する前に大量の鼻水が出ることもあります。

溶連菌感染による扁桃炎の治療は抗生物質の薬を内服する方法が一般的です。
抗生物質の中でも第一選択に使用されている薬はペニシリンです。
ペニシリンの服用期間は7-10日程度必要で、医師の指示通りに忘れずに最後まで飲みきることが重要です。
高熱や喉のはれや痛みなどが治まっても、服用を中止することは控えるべきです。
中途半端な期間で服用を中止すると耐性菌の出現につながりかねません。
溶連菌は感染力が強く、唾液などの飛沫による感染拡大の懸念は否定できないので、家族がいる方は全員で感染の有無を確認して、いわゆる「ピンポン感染」を防止しなければなりません。

ところで溶連菌感染を原因とした扁桃炎に対してペニシリンなどの薬で十分な治療を行うことには、耐性菌防止のためだけでなく、後述するリウマチ熱発症を防ぐ上でも重要なことです。
リウマチ熱自体は感染するおそれはありませんが、心臓などに後遺症を残すことがあるので注意が必要な病気です。

リウマチ熱は後遺症を残さず完治させることが大事

リウマチ熱とは扁桃炎や猩紅熱などの溶連菌に感染後、続発する炎症性の合併症のことです。
扁桃炎などの溶連菌感染症に対する不十分な場合に一部の患者で発生が見られています。
溶連菌に感染すると体内で免疫細胞からこれを排除するための抗体が生産されますが、細菌ばかりでなく血管や筋肉・神経組織・時には心臓などまで、異物と誤認識して攻撃してしまうことがあり、それがリウマチ熱発症につながっていると見られているのです。
リウマチ熱そのものは他人に伝染することはありませんが、溶連菌自体は感染力を持っているので、とりわけ集団生活を送る中ではリウマチ熱に罹患するリスクは高くなっているといえます。

リウマチ熱の主な症状は関節痛や発熱・発疹や皮膚の下にふれる小さなシコリなどが主な症状ですが、心臓の炎症による動悸や自分ではコントロールできない筋肉のけいれん(舞踏病症状)なども見られます。
主な症状の関節痛では、突然痛みが発生し熱を持ちはれて赤くなる事もあります。
痛みが出るのは膝や手首・ひじや足首などの比較的大きな関節が主ですが、手足の指の小関節にも症状が出ることがあります。
リウマチ熱の関節痛の特徴の一つに痛みがでていた関節の症状が緩和すると別の部位の関節に痛みが移る傾向が見られることです。

リウマチ熱には合併症があることも知られており、重要なのは心臓と中枢神経の障害です。
心臓の炎症はリウマチ熱発症後5ヶ月以内に治まりますが、何年も経過してから障害が発見される場合があります。
リウマチ熱を発症すると影響を受けることが多いのは、心臓弁で心臓弁膜症のリスクに直面することになる訳です。
心臓弁膜症のリスクが懸念される場合は心電図やエコー検査などで異常の有無を確認します。

このような感染症を予防するためにペニシリンなどの抗生物質の予防投与することが推奨されていますが、どの程度の期間継続するべきなのかは見解の対立がみられ、未だ結論の一致をみていません。